2010年度春学期金曜日6限 清木研究会(2) シラバス(リサーチ・プロジェクト 形態B)

マルチメディアデータベースの応用と
アクティブ・マルチデータベースに関する研究
担当:清木康

背景と目的

本研究プロジェクトでは、感性を扱うデータベース(感性データベース)、マルチメディアデータベースの構築と応用について研究する。対象研究領域は、画像データベース、検索者の感性に合う音楽情報を世界中の情報源から探すための音楽情報データベース、味覚を対象とした感性データベースなど、感性を扱うマルチメディア・データベースであり、それらのデータベースを実際に構築し、応用方法を研究する。感性データベースとは、いわゆるタイトルとか作者とか出演者などでデータベースを構成するのではなくて、例えば、悲しい感じの音楽が聴きたい、明るい絵が見たい、最初は悲しい感じでスタートし、最後はハッピーエンドで終わる映画が見たい、というような感性的な視点から人間が要求を出した時に、それに対応する情報源を獲得するためのデータベースのことである。ここでは、感性や言葉の意味を解釈する感性データベース、マルチメディアデータベースを実際に構築し、それらの実際の応用を考える。

さらに、本研究では、本研究室において構築したマルチデータベースシステム上に、近年 急速に普及しつつあるモバイル端末を活用し、利用者の位置、時間、意図に応じたプッシュ型のコンテンツ提供システムとして、ユビキタス情報発見システムを研究する 。アクティブデータベースとは、データベースシステムからプッシュ型情報提供を行なう技術であり、最近の無線情報通信技術の発展に伴い、注目されるようになってきている。本研究ではマルチデータベースシステムの応用として、広域コンピュータネットワーク環境において、アクティブデータベースを活用したアクティブ・マルチデータベースシステムの構築を目指す。この基礎技術を確立することにより、現実世界の多様なマルチメディアデータをマルチデータベースシステムによって抽出・結合し、利用者のニーズに応じた情報をモバイル機器へと発信することが可能となる。

研究紹介

教育用データベース構築(インドネシア・データベース教材作成プロジェクト:インドネシア ITS/EEPISスラバヤ工科大学との共同研究)

近年のデータベース技術はリレーショナルデータベースシステム単体で完結しておらず,マルチメディア環境やベクトル空間などの多様な計量系を併せて学ぶ必要がある.

本研究では現在のデータベース関連技術と周辺技術を新たに体系化し,データベース技術研究を牽引する人材を育成するための教材を開発する.また,開発した教材を広く公開することでデータベース技術研究を推進する.

交通運輸プロジェクト (SFC-JR 東日本交通運輸システム研究)

モバイル情報端末,無線コンピュータネットワーク,GPSをはじめとする位置検知技術などの新しい計算機システム環境の出現によって,我々の社会における情報供給・情報獲得の可能性が拡大している.
このプロジェクトでは,ユビキタス知識ベース統合システムによる応用システムとして、鉄道利用環境における時空間状況可視化を目的とした鉄道情報空間生成システムを開発する。本システムは、鉄道実空間において発生する事象、現象としての旅客流動に自動的に反応し、鉄道における旅客流動に関する情報に合致する運行情報・広告情報を抽出、合成し、自動配信する、新しい鉄道実空間と鉄道情報空間の間を連動する鉄道情報環境を実現する。ここで構築する“動的鉄道ビジュアル・マイニングシステム”は、鉄道実空間環境におけるセンシング・データに内在する状況・環境変化の抽出、認識を行い、鉄道情報空間上において既存・異種のDB群を動的に統合、分析(マルチデータベース対象のマイニング)し、実空間に発生している状況を可視化し、実空間上の利用者を対象とした可視化情報配信を実現する。

アクティブ・マルチデータベースシステム

アクティブ・データベース機構は,ユーザが望む反応処理を事前にルールとして定義しておくことで,データベース中の状態の変化に反応して様々な動作を自動的に実行する機能を提供するため,ユーザの情報獲得・情報利用を強力に支援することが可能である.しかしながら,既存のアクティブ・データベース機構は,単一のデータベース内に閉じた処理のみをサポートしており,オープンなネットワーク環境を対象とした汎用的なルール処理の実現は困難であった.本研究では,既存の情報資源群を対象としたルールを記述することで,ネットワーク横断的な動作を自動的に実行するオープン・アクティブ・データベースを提案する.本方式によるオープン・アクティブ・データベースでは,既存の情報資源に対する変更を要求しないため,情報資源を管理するシステムが受動的か能動的に依らず,任意の情報資源を連結し,能動的に利用することが可能である.本方式の特徴は,ルール言語に対して,再利用可能な中粒度のスキーマ構造を操作する,メタプログラミング機能を導入することにより,対象データに対する知識を含まない,データおよびアプリケーションと疎結合なルール処理を実現する点にある.

時空間DBによるユビキタス情報発見システム

職業・教育カリキュラム連結データベース

本研究では,異種の職業情報と教育情報を連結するメタレベルデータベースシステムを実現する.本システムは,異種の教育コンテンツ,職業データベース,および,個人のキャリア情報の関係を,検索者の目的や状況(コンテクスト)に応じて動的に計算可能にするものである.

近年,価値観,職業選択,教育機会の多様化といった社会的背景により,個人に特化した学習計画やキャリア開発プランの設計が重要な課題となっている.

こうした背景から,異種の職業情報,教育情報,個人の学習履歴及びキャリア情報などの関係を動的に計算可能な計量系の実現が重要である.

本研究の成果により,職業,教育,人材に関するデータベース間の関係の計量が可能になり,個人の履歴および目標から動的に学習計画やキャリアプランを設計したり,任意の課題に関して必要な人材やその教育カリキュラムを特定するなど,人材育成やキャリア開発分野において多大な貢献が期待できる.

因果関係計量DB構築研究

近年、職能に関する知識の共有や伝承の必要性が高まっている。現在は、マニュアルやベテラン技術者の直接指導による共有や伝承が殆どだが、実際のものづくりの現場ではマニュアルにはない重要な職能が多く存在し、その情報共有は難しい。技術者個人に帰属しがちな職能に関連する知識、技能、能力などの暗黙知を形式知に変換し、因果関係計量を有する検索空間を生成する。利用者は、発生するトラブルと過去の原因-結果関係の履歴との関係性を計量し、原因箇所を特定し、その解決策に関連のある再利用可能なドキュメント群を自動的に検索することが可能となる。また、利用者の知識を空間へのフィードバックとして学習させることにより、検索空間の精度を高めることが可能である。

映像メディアデータベース(スポーツ映像データベース構築)

機能
- スポーツ映像データベースは、撮影した映像を対象に、個人プレー(action)とチーム戦術(play)両方からの検索、及び、必要とするシーンにピンポイントで辿り着くことを可能にする.

貢献
- スポーツ映像の蓄積・検索モデルの提案
- スポーツ映像の活用による競技技術・知識の早期習得を援助
- 特定競技の普及を目的とする、競技に関する情報格差の軽減

感性の変移を計量するデータベース構築

ユーザの心理的印象を現在の情況から別の情況への遷移を促すシステムの構築を目指します.例えば,「寂しい」という情況を少しずつ満たしてゆき,「落ち着いた」という情況へと遷移させてゆく,というものです.多くのメディアコンテンツ(静止画像,動画像,照明など)を連続的に提供し,動的に環境をクリエイトことで,その環境に存在するユーザの心理的情況遷移を促してゆきます.その際における,ユーザの心理的情況の遷移を上手く促すように,多くのメディアコンテンツに順番を付けるアルゴリズムの研究がメインとなっています.

遷移計量過程図:

目的志向型外国語/数学学習用データベースシステム

従来の教材作成においては,能力レベルや学習目的に沿った教材のカスタマイズが困難である点や,多様化する学習目的に対応しきれない点が課題である.本研究では,外国語の自律学習において重要と考えられる学習目的,習得度,興味・関心情報を「学習コンテキスト」とし,個人の学習コンテキストに応じたネットワーク上の外国語学習向きマルチメディア・コンテンツを学習資源として自動的に選択・提供する目的指向型学習システムの実現方式を示す.本研究の特徴は,学習者が自らの学習レベルや到達目標レベル,および,興味・関心に合致すると判断したサンプル・コンテンツを入力することのみにより,自身の外国語習得度や到達目標が自動的に判定され,興味対象・専門分野に応じた学習資源の自動的な獲得が可能となる点である.

Digital Earthを用いた世界的事象マップ・データベース構築

本やwebpageを読んでいて、ドキュメントの中に、歴史的な地名や、歴史的に重要な用語が地図や年号の説明無しに出てくることがあると思います.そのような場合には地図帳や百科事典で調べたり、googleで検索するといった処方箋が考えられますが、古い地名と現代の地名が混ざっていたり、様々な時代の用語が一つのドキュメントの中に散在しているとなると調べるのは大変です.
そこで、計算機上に表現されたテキストファイルの中に存在する地名や歴史用語のメタデータ・セットからデジタルマップ上に位置情報をポイントし、時代を推定するプログラムを実装してみることにしました.

画像による気象状況分析データベース

地球の地上あるいは宇宙から,地球の気象環境を観測したデータが数多く集められている.そのデータは画像やグラフに加工され可視化されて,人々に情報を与えている.この可視化された膨大なデータ(画像・グラフなど)を収めたデータベースから,将来の気候の変化を予測する可能性を探る.

履修の条件

音楽、画像、映像などのマルチメディアデータベースを対象とした知識体系の設計、構築に興味を有すること。

ゼミは金曜日の6限に行なわれるので、それに出席できることが前提である。特に履修人数に制限はかけていないが、人数によっては選考を行う可能性もある。

求める学生像

どうすれば斬新なアイデアからオリジナリティの高い研究へと導くことができるのかを考える素養を高めることが、本研究会の目的の一つである。研究会に入るために前提知識は特に必要としないが、具体的には以下のような学生が向いている。

研究生の多くはデータベース研究、システム研究に興味を持ち、本研究会に入った学生である。1、2年生の聴講も歓迎する。

現在の研究室メンバー構成(聴講生も含む)

博士課程5名、修士課程5名、4年6名、3年3名、2年2名

これまでのサブゼミで行った内容

これまでの輪講で使用している図書

参考図書

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