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研究概要

本研究は,人文社会科学と自然科学の情報源の連結による 新しい研究,学問領域の創造を実現するためのメタレベル 知識ベースシステムの構築を目的とする.メタレベル知識 ベースシステムとは,サイバースペース上に展開する情報 源をデータベース群に蓄積,集約し,それらのデータベー ス群を編集・統合した情報を発信することにより,学問領 域を越えた,すなわち一段抽象度が高い人間の思考,創造 活動を可能にするシステムのことである.

人文社会科学と自然科学の各学問領域において現在までに 蓄積された情報源としてのデータベース群は,個別の分野 ごとに独立なデータ構造,データ表現,言語表現を扱って おり,それらのデータベース群を統合することによって実 現される大局的な知識の集約,および,それらを編集する ことによって構成される新たな英知の発信を実現するには 至っていない.

広域ネットワーク・インフラストラクチャの整備が進みつ つあるにもかかわらず,我々は,既存の多くの知的データ 資源を共有,編集,統合利用することができない.データ ベース群の共有,検索,編集,統合は,新たな学問分野の 創造環境を実現する本質であり,その環境を提供するメタ レベル知識ベースシステムは,研究,学問領域における知 的情報環境を構成するシステムとして重要である.

様々な学問領域は,共通の時間,空間上での知的生産活動 により形成されてきたことを考慮すると,それらの学問領 域間での知識の共有,および,融合のためには,時間的, 空間的な関連性による知識群の連結は本質的に重要である. そして,データベース群の連結,および,融合における時 間的,空間的操作は,新しい学問領域を産み出すプロセス, ならびに,その発展プロセスを実現するための重要な機能 となる.さらに,データベース群に蓄積された知識群を意 味的な等価性,類似性に基づいて連結する操作は,個別の 分野ごとのデータ表現,言語表現の相違性を解決し,異な る学問領域にまたがった人間の思考,創造活動を活性化さ せる.

[A System Architecture of Meta-Level Knowledge Base Systems]

本研究では,知的データ資源の活用を図るメタレベル知識 ベースシステムを実現し,そのシステム上で人文社会科学 と自然科学の分野に関する既存データベース群(ローカル データベース群)を連結することにより,人文社会科学と 自然科学分野を融合した新たな研究,学問領域の創造環境 を構築する.メタレベル知識ベースシステムは,様々な学 問領域が有する情報源としての既存データベース群のメタ レベル(一段抽象度が高いレベル)に位置するシステムで ある.このシステムは,発行された問い合わせに応じて, 個々の既存データベースのデータ構造,データ表現,言語 表現をメタレベルの共通データ構造,データ表現,言語表 現に変換し,それらを対象とした集合演算群を実行する機 構群によって,既存データベース群全体を対象とした検索, 編集,統合,さらには,データマイニング(知識発見)を 実現する.

過去において,研究代表者は,メタデータベースシステム の実現モデルを示してきた.この実現モデルにより,デー タベース群の上位レベルにメタレベル・システムアーキテ クチャを設定し,メタレベルシステムへの問い合わせ発行 を行う環境を実現した.そして,複数の異種データベース を対象として,新たな情報あるいは知識を生み出す構成要 素としてそれらをマルチデータベース環境の中に統合する 方式を設計・実現した.

また,研究代表者等は,異種データベース間におけるデー タのもつ表現形式および意味の相違を解消するための意味 的連想検索方式を示してきた. この成果は,米国マグロ ウヒル社から出版されている``Multimedia Data Management''のChapter7において広く紹介されている(著 書:Multimedia Data Management -- using metadata to integrate and apply digital media --,'' McGrawHill(book), A. Sheth and W. Klas(editors), Chapter 7, 1998).